【イイ感じに分析】King Gnu 井口理さんのカブトムシハモりは何故心に響くのか

アイドルソング作曲ラボ
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はじめに

King Gnu 井口理さんのカブトムシヤバくね??!?!

こんにちは。めだんしです。

 

ちょっと前にSNS等で大騒ぎになりましたね。

今日本で一番注目されているといっても過言ではないバンド、King Gnu。そのVo.Keyである井口理さんがパーソナリティを務めている「King Gnu 井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)」に、これまた国民的シンガーのaikoさんが出演されたときのことです。

ラジオ内で井口さんとaikoさんがカブトムシをデュエット。

いやもうそれだけで十分すごいんですけど、
サビ部分の井口さんのハモり方がとてつもなくオシャレでオシャレで!

音楽に詳しい詳しくないに関わらずそのオシャレさは伝わったようで、
一気に話題になりました。

聞き逃した方のために、
分かりやすくシンプルにメロディーとコードだけを鳴らした音源を作りましたので置いておきますね!

いや…マジでよすぎる……

ピアノでこれですよ。これをあの二人が歌うんですよ。
そら鳥肌モンでしょ……

ハモりの入れ方はもちろんのこと、
途中で1オクターブ下でユニゾンしたり、最後は自分は歌わず主旋律だけに渡すなど、原曲とaikoさんへのリスペクトがはんぱない。すごくないすか?マジで(語彙力)
ハモり続けるのってやってる側はぶっちゃけ超気持ちいいんすよ。
でもそうしないでユニゾンしたのは原曲のメロディーを活かしたかったからだろうし、逆にユニゾンが入ったからこそ後半のハモりが一層際立つし、最後に綺麗にロングトーンでハモってくれるんだろうなと思ったら井口さんはスッと消えてaikoさんだけになる。aikoさんの曲だから、でしょうね。(個人の推測)
すごくないすか?マジで(語彙力)(2回目)

 

…完全に早口オタクになってしまいました。話を戻しましょう。
で、これがオシャレってのは分かるし、取り入れられるもんなら取り入れてみたいんだけど、普通のハモりとは何がどう違うん?って思った人、多いと思います。

そんな人のために、このサイトのコンセプトどおり、

・理論とかよくわからなくても
・なんかイイ感じに分かって使えるようになる

ことを目標に、分析してみますね!

 

※あくまで「パパッと手早く作ってみたい!」、「それっぽい雰囲気だけ取り入れたい!」という人向けのものですので、ガッチガチの楽理的な分析はありません(というかできません)。

※※というかもはや個人的な感想です。マジで好き。

※※※ゼロオタDTMは「ゼロからでも始められる」がモットーですが、今回の記事に関しては完全初心者というよりかはやや中級者向けみたいな話になってきますので、「ダイアトニックコード」と「キー」についてはある程度でもいいので理解しておくことを推奨します。

 

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心に響く4ポイント

 

  • “3度上を1オクターブ下げ”る
  • エモの権化”半音アプローチ”
  • 普通じゃないコードの”変異点を歌う”
  • “テンションノートを歌う”

 

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3度上を1オクターブ下げる

「3度上」はハモりの基本

「ハモり」といえば3度上、これはみなさん想像つくんじゃないでしょうか。

特にポップスやロックでは王道中の王道ですね。

カブトムシのサビメロに3度上でハモりを乗せてみるとこんな感じになります。

 わりかし馴染みのある響き方に聞こえるんじゃないでしょうか。
多分「とりあえずハモり乗っけて!」って言われたら誰もがまずはこれを思い浮かべるはずです。
上の響きが加わるので煌びやかな印象になりますよね。

ただ、3度上にはひとつ決定的な弱点があります。

高い。

いや当たり前なんですけどね。上歌ってるんだから。

メインのメロディーが高い曲とか、女性の曲に男性がハモりを入れていくとなるとマジで難易度が跳ね上がります。そらそうだ。出ねえよ。

メロディーを際立たせるためのハモりなので声を張り上げるわけにもいかない。じゃあどうするか。下を歌うしかないわけです。

そこで出てくる次の選択肢が「3度下」です。

 

「3度下」は若干難しい

「高くて歌えないなら低い方でハモろう!」となるのは当然の思考ですが、「3度下」でハモるのは実は3度上ほど簡単ではないんです。

取り急ぎ3度下でハモらせてみたものがこちら。

まず印象として、「3度上よりもおとなしくなる」感じがしますよね。
まあこれは仕方ないです。音自体が低いんだもの。

あとこの音源、3度下といいつつ、結構3度下以外の音も鳴らしています。

というのも、下でハモるときはコードとぶつかって不協和音になることが多いからなんです。(詳しい説明は省きます。覚えなくてもどうにかなるものなので)

あと、理論上音は合っているとしても、低い音で近い音が鳴っていると濁って聞こえやすいんですね。低音の習性、みたいなものと思ってください。

この「ぶつかり」や「濁り」を避けながら作っていくと、どうしてもメインメロディーと大きく離れたコーラスラインになってしまいます。そうすると歌いにくくなって楽しくないし、音も外しやすくなって本末転倒、みたいなことに…。

だからこそ3度下系でハモりを作れる人は上手い人なんですが、そこは今日はおいておき、もっといいハモりの入れ方を考えていきます。

 

「3度上」と「3度下」のいいとこどりすればいい

・「3度上」は分かりやすくて煌びやかだけど高い

・「3度下」は高くないけど難しい

という特徴ということが分かりました。

じゃあ
「分かりやすくて煌びやかな印象があるけど高くはない」
ものを作ればいいじゃん、となるわけです。(それはそう)

その一番手っ取り早い方法が

「一旦3度上にあげて、そのまま1オクターブ下げる」

です。

その音源がこちら。

だいぶ井口さんのハモりに雰囲気近づきましたね!

「6度下」っていう言い方をしてもいいんですけど、多分「3度上を作る」っていう意識の方がコーラスラインは作りやすいと思うので、一旦3度上で作ったあとに丸っとオクターブ下げるのが個人的には簡単でオススメです。

 

このハモり、なんなら先ほどの「3度下」よりも低いところでハモっているはずなのに何とも言えない浮遊感みたいなものを感じませんか?

耳馴染みのある3度上と同じラインなので煌びやかな印象があるはずなんだけど、音自体は低い、このギャップがフワフワした感じを作ってくれるんじゃないかなと思ってます。

あとはこのくらいの高さを男性が歌うとふくよかで柔らかい感じの声が出やすいので、より包み込むようなほんわりしたハモりになりやすいのかもしれないなあとも。

 

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エモの権化”半音アプローチ”

とにかく半音で動かすとなんかエモくなる

「エモ」とか「スクリーモ」とか言われているバンドの畑にいた人間なのでこの言葉を乱用するのはあまり好きではないんですけど、、、

でもやっぱり半音で動かすととりあえずエモくなるんですよ。

以前ハロウィンっぽい曲のコツを紹介したときにも出てきました。

【作曲講座】まだ間に合う!一瞬で「ハロウィンっぽい」曲が作れる5つのコツ
オタクコンポーザーMedansy流「ソレっぽい曲の作り方講座」第1弾。小難しい解説や細かい理屈は抜きで、「ハロウィンっぽい曲」を簡単に作れるようになるコツを紹介します。

感情~~~な感じを出したいときは半音、これは鉄板ですね。

 

極端に不協和音になったりしなければ積極的にねじこむ

で、この半音アプローチが井口さんのハモりにはこれでもかってくらい出てくるんです。

カブトムシサビ後半「流れ星~忘れることはないでしょう」で見てみましょう。
(画像は2番前提で打ち込んだので半拍前にもMIDIが入っています)

まずは一般的な3度上(6度下)でハモった場合。

 

井口さんのハモり。

 

多いな!!!!!!!!!!

僕も聞いているときは「半音多いな~」くらいでしたが、いざ比較すると圧倒的ですね。

この半音アプローチの弱点というか注意しないといけないところに「不協和音」があるんですが、
長い音でどこかのパートと半音でぶつかったり、数拍の間に何度も何度も半音でぶつかったり、要は明らかに不協和音だと感じてしまう場合でなければチャレンジしちゃっていいと思います。

半音で「揺らぎ」を作ってあげたら、ちゃんと近いうちに「着地」させてあげる、っていう意識だけ持っておくとよりうまくいくと思います。
(主音と導音、トニックとドミナント、みたいなキーワードだけ今日は書いておきます)

 

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普通じゃないコードの”変異点”を歌う

「普通じゃない」=ノンダイアトニックコード

あんまり専門用語的な言葉は使いたくないんですがこればっかりは何とも言えないので。

ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードってのがあります。

ざっくりとだけ解説すると、
各キーでは基本的に使えるコードというのが決まっていて、それらをダイアトニックコード、そうでないものをノンダイアトニックコードといいます。
ノンダイアトニックコードはじゃあ一切使えないのかと言うとそうではなくて、一定の条件であれば使うこともできるコードになります。

まあ軍隊における「正規軍」と「非正規軍・傭兵」くらいに思っておけばいいです。

で、このノンダイアトニックコード、普段は使われない音なので、こいつが鳴ると聞き手に「引っかかり」を作ることができます。
「オ?なんか違う雰囲気になったな」と感じさせるわけです。

作曲のときはこれを利用して転調したり、同じキーの中でも印象を操作したりできます。

 

ノンダイアトニックの音を歌うことで「引っかかり」を強調

前述したとおり、こういったノンダイアトニックコードを使うのは、「引っかかり」を作りたいからなので、ハモりやリード系など、聞き手の耳に入りやすいパートがノンダイアトニック感を強調してあげると、より強い「引っかかり」を作ることができます。

ノンダイアトニックコードの中でダイアトニックコードには含まれない音。
それを便宜上「変異点」と呼ぶことにします。

 

ノンダイアトニックコードって結局なんやねん!!!!

と、そろそろ叫びたくなってきたと思うのでぼちぼち具体例を見ていきましょうか。

先ほど同様カブトムシサビの後半です。
まずはコードのMIDIを出してみます。

赤字の部分がノンダイアトニックコード、オレンジで囲ってある音が「変異点」です。
細かいコード名表記は一旦省いているのでヘーこんな感じなんかくらいに思ってください。

最後から2番目のB♭sus4はダイアトニックコードではないのですが、「変異点」は含まれていないコードになります。

例えば「G」は、歌詞で言うなら「苦しうれし胸の」、「F#dim」は「忘れる」の「る」、にあたるコードです。
まさに「引っかかり」を感じるポイントだと思います。

この「引っかかり」をハモりで強調してあげます。

お待たせしました、井口さんのハモりです。

「生涯」のところと、先ほどもあがった「忘れる」の「る」が見事に「変異点」ですね。

ちなみに「G」の「苦しうれし胸の」のところはメインメロディーがBを歌っているので、メインが「変異点」を担当している形になります。

ここまでを踏まえて先ほどの3度上や3度下を聞くと、確かに「引っかかり」や「揺らぎ」が弱いなあと気づくはずです。

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“テンションノートを歌う”

最後がなかなか難しく、歌唱者の実力も問われる分、決まると最高にオシャレ感を出せるポイントです。

テンションノートってなんやねん

まあ難しいことは置いておきます。

コード(和音)というのは基本的に3つの音でできてるんですね。

Cメジャーコード、といったらド、ミ、ソ、です。

それより上の音をコードに乗せたらそれは全部「テンションノート」です。

つまり最後のポイントは「コードの基本構造音以外の音を歌う」、という意味です。

3度や5度にはないオシャレな響きになる

これはまあもう見ちゃった方が早いです。

例えばサビ出だし「少し背の高い」の「い」。

コードとしてはGm。ソ、シ♭、レが基本構造です。

井口さんはここにファを乗せた。

すると、井口さんの声によって全体としてはGm7というコードに進化するんです!

もちろん場所によってこのファを鳴らしている楽器はあったりなかったりしますが、声がここを受け持つことによってテンションノート成分が強調されるのでこれまたふわっとした浮遊感や切なさを演出できます。

 

そして極めつけがここ。
やっぱりサビ最後「生涯忘れることはないでしょう」です。

まずは「生涯」の「い」でシ♭を歌うことでA♭add9というコードを演出、さらに直後の「忘れる」でファを歌うことでGm7を演出しています。

もうお分かりでしょう。
今回紹介した4つのポイントのうち3つがここに詰まっているんです。

まずは入りのAm7-5に合わせたラの歌い出しで引っかかりを作る
次にadd9を演出。
このadd9というコード、その名の通りコードの一番下の音から数えて9番目の音を乗っけたコードのことなんですが、個人的に「浮遊感が欲しかったらまず第一候補にあがる」と思っているくらい、ふわっとした感じが心地いいコードです。
一番メロが高くなるところでその9thを持ってくる。まさに浮遊するんです。
そして「ド直球に悲しいわけではない、楽しい思い出は今も生きてる、好きだった、でも、もういない」とみたいな複雑に揺れ動くような感情をGm7で演出して、強烈な引っかかりであるF#dimにつなげる。しかもここまでの流れで半音アプローチを混ぜ込むことでより強烈な情緒を生み出す。でもやっぱり悲しいのは悲しいっていう印象を強力に引き立ててくれます。

そこから「(忘れる)ことはないでしょう」ときちんと着地するんですが、すんなりと終わらずに「ことは」の「は」で旋律を上に跳躍することで、まるでトクンと心が跳ねるような(歌詞的にそれがプラスなのかマイナスなのかは別として)恋心を思い浮かべさせてくれます。

マジで気持ちよさの塊です。

…なんか途中からまたオタク語りしちゃいましたが、それくらいすごいハモり方だなと感じました。井口さんはもっと深い意味をこめているかもしれません。(逆にそこまで考えずに感覚でこれを出されたなら流石の天才!って感じです)

 

難易度はやや高い

ここまでまくしたてると「じゃあテンションノートでハモり作りまくればええやん!」ともなりかねないんですが、実はそうでもなくて、先ほども書いたとおり、テンションノートはあくまでも「基本構造外」の音なので、そのコード本来の聞こえ方を薄くしたり、場合によっては響きを濁らせたりする可能性もあります。

特に音数の多い曲になると知らず知らずのうちにどこかのパートとぶつかってる…なんてこともよくあるので注意が必要です。

また、パキッとした響きが好まれる王道アイドルやパンクロックとかの場合はやはりテンションノートでのハモりはあまり聞かないですね。

 

あくまでも主役は「メインのメロディー」なので、どういう演出をしたいのかを考えて、耳馴染みのいい音を基本にしつつ、ここぞ!というところで入れてあげるのが一番いいと思います。

 

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まとめ

 

あまりに感動したので勢いで記事にしてみましたが、いざ字に起こしてみると本当にすごいですね…さすがは井口さん、そしてそれをさせてしまうだけのカブトムシ、といったところです。
あれだけの鳥肌を起こしたのは井口さんとaikoさんという日本トップのお二人の歌唱だからこそだとは思うんですが、こうも感動すると真似できる部分は真似していきたくなりますね。

拾いきれていない「すごいポイント」はまだまだありますので、みなさんも是非改めて聞いてみてください!

また、今回のハモりの作り方は作曲やRemix、歌ってみたにももちろん応用できるテクニックですので、是非使ってみてくださいね!

 

それではまた!

めだんしでした。

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